文化庁

Culture Nippon

平成30年度(第73回)
文化庁芸術祭 受賞一覧

芸術祭大賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
藤山 直美
受賞対象
「おもろい女」における演技
受賞理由
ミス・ワカナは戦前、戦後に人気を博した早逝の天才漫才師である。藤山直美は漫才の場面で絶妙の間合で笑いを誘う一方で、芸に対する姿勢の厳しさも見せた。自分にも他者にも一切の妥協を許さず、練磨のためには孤独も恐れない。道半ばでの、芸への未練を残しての壮絶な最期まで、ミス・ワカナその人が浮かび上がるような演技であった。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
該当なし
受賞対象
受賞理由

芸術祭
優秀賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
野村 萬斎
受賞対象
狂言ござる乃座58thにおける「悪太郎」の成果
受賞理由
「悪太郎」はシテの性格が強烈なため演者を選ぶ大作である。豪放磊落なキャラクターに同化して演じられることが多いこの難役を野村萬斎は明晰な知性で捉え直し、「思索するアウトサイダー」として再生させた。淡々と情味深い石田幸雄の伯父。絶妙の呼吸で至芸を見せる野村万作の僧。この両名手の助演を得て当代一のアンサンブルが成立。重演を常としながら時々の一回性に賭ける古典芸能・狂言の神髄を見事に示した。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
一般社団法人 SENDAI座プロジェクト
受賞対象
「十二人の怒れる男」の成果
受賞理由
長机と椅子だけの舞台が、緊迫した討論劇に観客を集中させる。ここで真に裁かれるのは、多数が少数を圧迫し、根深いヘイト意識で他者を傷つける現在の社会風潮なのだ。弱者であっても、民主主義の本義を守ることをあきらめてはならない。明確な演出意図を演技者たちがアンサンブル良く伝えた。演出者による翻訳も秀逸だ。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
山本 哲也
受賞対象
第24回 照の会 「山姥」における成果
受賞理由
山廻りを続ける山姥の正体に迫る難解な曲だが、シテ方や小鼓などと調和よく間を刻み拍子をとるだけでなく気迫がこもる演奏で作品の世界を創造した。特に後半、大鼓特有のカーンという高く澄んだ音が響き渡ると険しい山々を連想させ、強弱のある音色やメリハリのついた掛ケ声で鬼女の恐ろしさだけではない優しさをも感じさせた。

芸術祭
新人賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
松下 洸平
受賞対象
「母と暮せば」における演技
受賞理由
長崎で被爆した母と亡くなって幽霊となった息子の交流を描く新作。松下洸平は真正面から役と史実に向き合い、その時代を生きる青年を体現。畑澤聖悟の戯曲も秀逸で、演出の栗山民也、母役の富田靖子ら作品の総合力も高く評価できる。松下の実直な演技は井上ひさしが遺した原爆、戦争への思いを明確に届け今後が期待される。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
凰稀 かなめ
受賞対象
「さよなら、チャーリー」における演技
受賞理由
多くの女性を泣かせてきた男が殺され、天罰として女の姿で生き返るというコメディ作品。凰稀かなめは、主人公のチャーリーに取り組み、戸惑いながら男から女へと変化していく様を伸び伸びと明朗に活写した。宝塚歌劇の男役時代に培った男性としての身のこなしや華やかな存在感、コメディセンスの良さを発揮。女優としての将来性を感じさせた。

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芸術祭大賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
該当なし
受賞対象
受賞理由

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
並河 寿美
受賞対象
第27回みつなかオペラ「トスカ」における歌唱
受賞理由
並河寿美の「トスカ」は、安定した歌唱でアリア「歌に生き恋に生き」を頂点とする大役を歌いきるだけでなく、第2幕殺人の場面での大泣きに象徴されるように、弱さ・脆さをさらけ出す役作りで、演技面に新境地を開いた。この好演は、市民ぐるみでオペラに取り組む兵庫県川西市の環境、指揮の牧村邦彦、演出の井原広樹をはじめとする練達のスタッフに支えられており、芸術家と地域文化の幸福な関係を示す公演でもあった。

芸術祭
優秀賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
田嶋 直士
受賞対象
「第38回 東京尺八リサイタル」の成果
受賞理由
尺八音楽の原点ともいえる虚無僧の音楽、古典本曲を求めて40年、ひたすら一筋の道を歩んできた田嶋直士が、本曲ばかり8曲を並べて挑んだ東京でのリサイタルは、その歩みを確実に示すものであった。曲ごとに長さの違う尺八を用いて曲の雰囲気に変化をもたらしながら、尺八を吹くことを「道」とする海童道の哲学的な味わいを感じさせた。

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
加藤 訓子
受賞対象
「DRUMMING」の成果
受賞理由
加藤訓子は幅広い聴衆に現代音楽のおもしろさを伝えてきた打楽器奏者である。スティーヴ・ライヒの音楽は彼女のレパートリーの核をなしているが、今回は特に70分程の大作《ドラミング》を取り上げた。一人多重録音の音源を流しながら、ライブで一声部を重ねる大胆な試みに挑戦。完璧で鮮やかな演奏が聴衆を圧倒した。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
片岡 リサ
受賞対象
「片岡リサ 20周年記念 箏リサイタル」の成果
受賞理由
「箏独奏曲の変遷」を副題に、古典1曲、宮城作品2曲、現代作品2曲を選曲し、異なる音楽様式を的確に弾き分け、歌い分けた高度なテクニックと芸術性は、観客を魅了した。全曲を十三絃箏で演奏し、学究にも裏付けられた優れた解釈力は、楽器の特徴を熟知したしなやかさと、緻密な構成感の両面を兼ね備えた希有な演奏であった。

芸術祭
新人賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
川瀬 賢太郎
受賞対象
「神奈川 フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会 みなとみらいシリーズ 第343回」の成果
受賞理由
オーケストラの定期演奏会で敢えて2001年大阪池田市での児童殺傷事件を扱った権代敦彦の「子守歌」を取り上げ、オーケストラとともに児童合唱を導き、感動的な演奏を繰り広げただけでなく、同じく子供を扱ったマーラーの交響曲第4番と組み合わせ、十分に間(ま)をとった真摯な指揮によってこの交響曲を通常とは違うように響かせた成果は高く評価される。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
該当なし
受賞対象
受賞理由

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芸術祭大賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
該当なし
受賞対象
受賞理由

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
該当なし
受賞対象
受賞理由

芸術祭
優秀賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
花柳 秀衛
受賞対象
秀衛の会における「道成寺」の成果
受賞理由
一中「道成寺」は重要無形文化財(各個認定)保持者・故花柳寿南海の振付の名品の一つ。秀衛は師である寿南海の振付を伝承しつつ、自身の個性に合った工夫をそこに加え、芯の通った所作で破たんなくまとめた。女性の演奏家陣による音曲も効果的に秀衛の世界観に融合し、女性舞踊家ならではの彩りが広がった。

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
一般財団法人 谷桃子バレエ団
受賞対象
「創作バレエ・15」の成果
受賞理由
生え抜きの振付家、伊藤範子による創作2本。葛飾北斎の若き日を描く「HOKUSAI」は、絵師の世界観を反映した衣裳・美術と躍動感あふれる振付が優れた効果を生み、有名オペラを巧みに舞踊化した「道化師?パリアッチ?」では、出演者の熱演が生き生きした人間ドラマを現出させる。いずれもバレエ団が総力を挙げて見応えある舞台に仕上げた点が高く評価された。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
山村 若有子
受賞対象
「山村若有子リサイタル」の成果
受賞理由
山村若有子はリサイタルにおいて、地歌「淀川」、長唄「賤機帯」という川二題に素踊りで挑み、舞と踊りをしっかり勤め分けた。ともに抑制された動きのなかに洗練された美しさを見せ、「淀川」では水辺の遊女を情緒がこぼれるように、「賤機帯」では二人立ちの振りを一人で踊り、子を失った母の思いを表現し尽くした。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
一般社団法人 貞松・浜田バレエ団
受賞対象
「創作リサイタル30」の成果
受賞理由
団員が創作に取り組む機会として始まった「創作リサイタル」の30回目。29回までの上演作品から、1978年初演の貞松融振付「不安の時代」など初期の作品、オハッド・ナハリンの「DANCE」等、世界の振付家の作品、そして近年の森優貴振付「冬の旅」と力作をピックアップして上演した。時代の変遷を追う記録的価値はもちろん、現在のダンサー達が過去の作品にも全力で取り組み高いレベルで仕上げ、観客の心を掴む舞台になったことを評価したい。

芸術祭
新人賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
真境名 由佳子
受賞対象
第二回独演会 「舞心」の成果
受賞理由
古典舞踊はもとより雑踊り、創作舞踊まで琉球舞踊の多様さを伝える構成で、地謡も精鋭ぞろいで充実した舞台。女流舞踊家の先鞭だった流祖振付「うむい」は情感あふれる前半と、賑やかな後半の対比が鮮やか。雑踊り「加那よー」では浮き立つような軽妙さを表現。戦後琉舞を担った世代が高齢化する中、若手牽引役としての活躍が期待される。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
SHUN
受賞対象
「For You 4」の成果
受賞理由
「For You 4」から感じられるエネルギー、情熱を評価する意見が多く、中でも一部・二部を通じてタップの卓越した技術、観客を巻き込む力とユーモアで強い存在感を示したSHUNが高く評価された。他にも優れたダンサーが多く、今後のダンスの可能性を見せてくれる公演であった。

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芸術祭大賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
該当なし
受賞対象
受賞理由

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
ザ・ぼんち
受賞対象
「ザ・ぼんち 芸道46年分の漫才」の成果
受賞理由
強烈な個性のおさむと、まさととの噛み合わない掛け合いが笑いを生むスタイルのザ・ぼんちの漫才を、さまざまな切り口で2時間にわたり演じ、確かな技量と漫才の楽しさを存分に示した。デビュー以来46年間に演じた代表作のリクエストコーナーでは、懐かしさを感じさせたうえに芸風確立にいたる足跡を振り返り、孫がテーマの現在の漫才、老後の漫才を熱演。またコントも組み入れて、即興のおもしろさでも客席を沸かせた。

芸術祭
優秀賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
立川 志らく
受賞対象
「志らく独り会」の成果
受賞理由
立川志らくの定例公演には、映画を落語の舞台に移す「シネマ落語」と、自らの脚本で出演もする芝居がある。前者からの一席「天国から来たチャンピオン」は人情噺風に、一人芝居「不幸の伊三郎」は、昭和の家族の茶の間を軸に、時に立ち、数多く散りばめられた伏線をこなして行く。二つの長い実績から、練り上げた口演に評価が集まった。

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
六華亭 遊花
受賞対象
「六華亭遊花独演会」の成果
受賞理由
「つづら嫁ご」「試し酒」「夫婦豆腐」という趣の異なる3席を通して、女性のたくましさ、哀しみを時にユーモラスに描いた。マクラを含め女性の視点からの批評性を加えた構成の妙が優れていた。女房を主役にした「試し酒」はアレンジセンスが光った1席だ。巧みな話芸、味わい深い東北弁が醸す滑稽と情で、豊かな世界を創造した。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
桂 塩鯛
受賞対象
「桂塩鯛独演会」における「らくだの葬礼」の話芸
受賞理由
酒の飲み方、酔い方など酒に関する多彩な要素が入った上方落語を代表する大ネタを、力むことなく自然に演じ見事だった。長屋の乱暴者、らくだの死をめぐり、通夜を出してやるという兄貴分、無茶な用事を言いつけられる紙屑屋、やがて二人の立場が逆転する場面、人生をふり返る紙屑屋の長ゼリフ、さらには長屋の家主ら脇役も行きとどいた演出プランで描き、高く評価された。

芸術祭
新人賞

受賞者(団体)
(関東参加公演の部)
東家 一太郎
受賞対象
「浪曲の明日」の成果
受賞理由
安定感のある音程と様々な節づかいの習得により、浪曲の醍醐味である語りから節、節から語りへの移行もなめらかで心地よい。合三味線である妻の美(みつ)の確かな呼吸とばちさばきが一太郎の浪曲を引き立てていたのもほほえましく、師匠伊丹秀敏とともに演じた二丁三味線に力量を感じた。節と三味線が生み出す高揚感は浪曲の明るい未来を予感させる。

受賞者(団体)
(関西参加公演の部)
真山 隼人
受賞対象
「真山隼人独演会」の成果
受賞理由
浪曲師となって9年目の若武者が挑んだ初独演会は、度胸満点の直球勝負で清々しい余韻を残す。自作の新作、発掘した古典、受け継いだ古典と、三つの外題を真摯な姿勢で熱演。その芸は発展途上ではあるものの、大いに将来性が感じられた。また、二人三脚で歩む曲師・沢村さくらの存在は不可欠。あふれる熱量と技巧で隼人を盛り立てた。

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芸術祭大賞

受賞者(団体)
日本放送協会
受賞対象
ドラマ10 「透明なゆりかご」
受賞理由
本作品は産婦人科に見習いできたヒロインの視点を通して、そこが生命の誕生の場であると同時に喪失の場であることを突きつける。多くの医療ドラマに登場する、したり顔で命の尊さを語るような旧世代を排し、若い世代の院長、婦長、看護師らが手探りで本当のヒューマニズムに迫っていく姿を誠実に描き、これまでにない新しさを感じた。

芸術祭
優秀賞

受賞者(団体)
名古屋テレビ放送株式会社
受賞対象
メ~テレ開局55周年記念ドラマ 乱反射
受賞理由
強風で一本の街路樹が倒れ、その下敷きになった幼子が死亡したことから展開する人間模様を見事に描ききった力作である。事故に関わる人間たちの本音と建前が入り交じった主張の食い違いが、真実を曖昧なものにしていく、という物語は、石井裕也監督版『羅生門』ともいえるもので、見応えある人間ドラマとなっている。

受賞者(団体)
読売テレビ放送株式会社
受賞対象
天才を育てた女房~世界が認めた数学者と妻の愛~
受賞理由
数学者の偉大な功績。天才がゆえに変わり者扱いされる夫を支える妻と家族。いずれも、テレビドラマで扱うには難しく、デリケートなモチーフである。夫婦漫才のごとく流れるようなリズムの台詞と、難解な数式のイメージCGによって軽快に展開し、エンタテインメントとして深く心に残る作品に仕上げた、その手練れの脚本と演出は見事という他ない。

芸術祭
放送
個人賞

受賞者(団体)
志尊 淳
受賞対象
ドラマ10「女子的生活」における演技
受賞理由
LGBTというマイノリティからテレビメディアというマジョリティへの発信である。女性として現代社会を闊歩する男子は、それだけで旧来のテレビドラマを覆す。ヌーベルバーグ、ニューシネマと、いつの時代でも新しいドラマにはそれを体現する新しい俳優が生まれる。志尊淳はまさにその役割を見事にこなしたといえるだろう。

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芸術祭大賞

受賞者(団体)
日本放送協会
受賞対象
ETV特集 静かで、にぎやかな世界 手話で生きる子どもたち
受賞理由
ろう者が生きる世界を、彼らと同じ視点から見るとどうなるか。自身、聴覚に障害のあるディレクター主導で制作された本作は、一切のナレーションを排す実験的手法を用い、自由闊達な手話コミュニケーションによって聴者同様の賑やかで生き生きとした青春を過ごすろう者の日常を鮮やかに映すと共に、彼らが聴者の世界に飛び込んだ際にぶつかる壁をも示し、TVドキュメンタリーの新たな可能性を切り拓いた。

芸術祭
優秀賞

受賞者(団体)
株式会社WOWOW
受賞対象
ノンフィクションW 野村家三代 パリに舞う~万作・萬斎・裕基、未来へ
受賞理由
狂言650年の歴史を担い未来へ伝える万作・萬斎・裕基の野村家三代の挑戦を追う。狂言師が神のより代となり五穀豊穣を願う“神秘の舞”である「三番叟」は、伝統の高度な継承と進化への美しき融合を見せ、緻密な演技の中に深い情感が表現される。その軽妙酒脱で品格のある舞台を見事な映像美で納め、パリで3代が同じ演目に挑む姿を通して、生きた伝統の現在をとらえた名作である。野村家の終わりなき道は続く。

受賞者(団体)
名古屋テレビ放送株式会社
受賞対象
メ~テレドキュメント「行ってみれば戦場~葬られたミサイル攻撃~」
受賞理由
湾岸戦争時に政府が中東貢献船として派遣した民間輸送船「きいすぷれんだあ号」。安全な場所という条件が米軍の指示のもと危険海域に入りイラク軍のミサイル攻撃に晒されていた事実。橋本船長の現地報告書、当時の大臣、国会議員、官僚たちの証言から、一般の人々が自衛隊の海外派遣に慣れてきた現実が見えてくる。「日本のゆくえ」を問う秀作。

受賞者(団体)
株式会社テレビ岩手
受賞対象
山懐に抱かれて
受賞理由
四季を通じて山に牛を放ち、牧草だけで酪農を続ける一家の、実に24年にわたる奮闘を記録した叙事詩的大河ドキュメンタリーとも呼ぶべき執念の作品。環境と気候の厳しさはもちろんだが、子供たちの成長に連れ、頑固一徹の父への敬意と対立の様子がていねいに描かれる。長期間記録ならではの登場人物への親近感がしだいにふくらみ、牛農家への共感もさそって、いつしか画面の前で、家族の一員になっている自分に気づかされる。

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芸術祭大賞

受賞者(団体)
(ドキュメンタリーの部)
株式会社ニッポン放送
受賞対象
ニッポン放送報道スペシャル「My Dream」
受賞理由
五歳で光を失った小椋汐里さん。彼女の人並み外れた強い精神力で自分の道を切り開いていくドキュメント。彼女の前向きな人柄と将来就きたい仕事に対する熱い思いが濃密に描かれており、その魅力に感動を覚える。目が見える人とそうでない人との共生社会を作りたいと願う彼女は、自分たちが怖がらずに一歩ずつ出て行かなければならないと言う。常に夢に向かって力強く歩んで行く彼女を応援したい気持ちになる作品である。

芸術祭
優秀賞

受賞者(団体)
(ドラマの部)
日本放送協会
受賞対象
特集オーディオドラマ「73年前の紙風船」
受賞理由
戦中の風船爆弾製作に関わった祖父を持つ今を生きる主人公の恋物語と1945年の祖母と祖父の恋物語が長い年月を経て重なり合うドラマだが、その時代の交錯が緻密に計算されていて秀逸だった。やや構成から物語が形成された感は拭えないものの、戦争を知らない世代への強いメッセ-ジが物語に力強さを感じさせてくれた。

受賞者(団体)
(ドキュメンタリーの部)
日本放送協会
受賞対象
長崎 祈りの音色
受賞理由
長崎が経験したキリスト教徒の迫害と被爆の歴史を振り返りながら、その精神文化を語った重量感のある番組。スタジオでのゲストトークを中心としたオーソドックスな構成だが、制作者の視点が明確で、織り込まれるインタビューや音楽が番組全体に厚みを生んでいる。長崎・聖フイリッポ西坂教会での水谷川優子さんの演奏は圧巻である。

受賞者(団体)
(ドキュメンタリーの部)
北日本放送株式会社
受賞対象
KNB報道スペシャル 記者たちが伝えたイタイイタイ病
受賞理由
4大公害病の一つ、イタイイタイ病。日本初の公害病認定と加害企業への第1次訴訟から50年の節目にメディアが病気をどう報じたかを検証した。浮かび上がったのは産業振興にばかり目を向け、被害者を置き去りにしたと反省する記者たちの姿。番組が集めた証言はフェイクニュースが蔓延する今、報道のあるべき姿を問いかけていた。

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芸術祭大賞

受賞者(団体)
公益財団法人日本伝統文化振興財団
受賞対象
真言宗 豊山聲明 二箇法用付 大般若転読会
受賞理由
大般若転読会は1966年国立劇場開場記念公演にも取り上げられ、経典を空中に翻す華麗な所作が印象深い。この法会を、真言宗豊山派長谷寺に伝わる次第に基づいて声明公演用に再構成し、圧倒的な音声の力が醸成する神髄を耳から体感できる形に仕上げた。迦陵頻伽聲明研究会が豊山声明の発信と次世代への継承をめざした渾身の新録音。

芸術祭
優秀賞

受賞者(団体)
日本コロムビア株式会社
受賞対象
「季(TOKI)-冬-」/藤原道山
受賞理由
本CDは、尺八奏者として、邦楽の枠組みを超えて幅広く活動している藤原道山が、邦楽の古典の三曲合奏に正面から取り組んだ、4枚シリーズの最後を締めくくる1枚である。共演者に合わせた選曲と、共演者の魅力を最大限に引き出す演奏とで、三曲合奏の面白さを余すところなく表現している。

受賞者(団体)
有限会社 邦楽ジャーナル
受賞対象
Crossroads Vol.3「作曲家 高橋久美子 × 尺八考」-解体新譜-
受賞理由
5曲の尺八作品を収録する本CDは、古典と現代、邦楽と洋楽という枠組を超えて、尺八の多様な表現力と可能性を追求する。独奏から五重奏にいたる5曲のそれぞれに独自の輝きがある。古典尺八の様式を研究し、その特徴を解体して新たな創造へと昇華させた作曲家のエネルギーと、流派の異なる10名の気鋭の尺八家が、高い技量と洞察力を駆使して演奏に挑んだエネルギーが融合して、深淵な響きを作り出した。

受賞者(団体)
株式会社マイスター・ミュージック
受賞対象
テリュール
受賞理由
多くを吸収してヨーロッパ留学から帰国したギタリスト徳永真一郎のデビューアルバム。S.デ・ラ・マーサのフラメンコ的なものから始め、バロックから前衛まで、スペイン、フランスの多様な9曲を魅力的に弾く。単なるデビュー盤にとどまらない。ディスクの企画と演奏の秀逸さはギター音楽界の明るい未来を多くの人に印象づけるだろう。

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